牙と狼

牙狼 ( 鋼牙版 ) にドハマリした気持ちを二次小説で表現しています。

プロフィール

茅

Author:茅
牙狼 ( 冴島鋼牙 版 ) にドハマリして いる気持ちを、二次小説で表現して います。

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

検索フォーム

QRコード

QR

カウンター

■■■二次的創作妄想小説…“ 願い ” という名の思惑 10

~本作に関しては 「 当ブログの注意事項 」 をご一読下さい~

北の番犬所。
普段ここへ来る者の姿は剣の浄化を行う騎士くらいで、他はあまり見受けられず、
静寂に包まれている様な場所なのだが、ここ数日は珍しく多くの騎士や法師が
右往左往している状況だった。それは常にざわざわと人の声が騒めき、時に怒号が
飛び交い、ばたばたと駆け抜けて行く者の姿もある程だった。
「 ふぅ~、何だか騒がしいな、リルヴァ… 」              みなもとそうた
そんな北の番犬所に、剣の浄化の為に訪れていた一人の騎士 ・ 皆元 草汰は、
周囲の様子をきょろりと見回しながら、胸元にいる魔道具に向かって呟いていた。
皆元 草汰は、称号持ちの騎士だ。年齢は二十代半ばなのだが、ただその見た目は
                  きゃしゃ
あまりに幼く童顔で、背も低く華奢な為か、十代の駆け出しの騎士と思われる事も
                まと
しばしばだった。その身に纏った地に着きそうな程の魔法衣も、着ているというより、
着られているといった印象の方が強い。
「 そうねぇ…、何かあったって事かしら? 」
すると草汰の胸元に、ブローチ風にとまっている蝶の形をした魔道具 ・ リルヴァが、
その羽をぱたぱたと羽ばたかせながら、返答してきていた。リルヴァは若い女性の、
  かんだか
やや甲高い声をしており、話す度にその羽を細やかに動かすのだった。
「 最近ただでさえホラー狩りの指令が増えてて大変なのに、これ以上何かあったら、
もうお手上げだよ 」
「 そんな事を言わないで、草ちゃん。魔戒騎士なら、ホラーを狩るのが使命でしょ?」
と、リルヴァからの言葉を聞いた草汰は、ふぅ…と一つ溜息を漏らして胸元に視線を
落としていた。
「 リルヴァ…、いい加減その呼び方は、やめてくれよ。 俺もう、二十代も後半だよ?」
「 えッ、あ、そ、そうよね、ごめんなさい草ちゃん!…あッ 」
だが草汰の指摘に詫びを言ったものの、勢い余って通常通りに名を呼ぶリルヴァに、
          こうべ            
草汰はがくり…と頭を垂れ、再度溜息を吐くより他なかった。すると―――。
「 草汰ぁ~! 」  
番犬所奥、神官の間へと続く扉の前にある広間に、草汰と同年代と見受けられる
三人の青年がおり、その内の一人が草汰へ向かって手を振って存在を示していた。
「 皆で番犬所に来てたのか? 」
急いで駆け寄った草汰が、親しみを浮かべた笑顔で三人へと声を掛けていた。
三人は草汰にとって幼馴染であり、騎士になるべく共に切磋琢磨した間柄だった。
無論普段は騎士の使命を果たす日々に追われ、なかなか会えないのだが、故に
                             ひととき
こうして番犬所で顔を合わせられれば、ほんの一時くつろぎの会話を行う事が、
四人にとって唯一の楽しみになっていた。
「 そりゃあ、この非常事態だ。番犬所に顔を出さない訳にはいかないだろ? 」
すると声を掛けられた青年が、言いながら他の二人に同意を求める様に告げ、その
二人も各々こくり…と頷き返していた。
「 そっか…。どうりで騒がしいと思ったら、やっぱり何かあったんだな 」
と草汰が、その脇を駆け足で神官の間へ入って行く騎士に、視線を向けたまま呟く
のに対し、他三名が愕然と顔を見合わせていた。
「 草汰…、まさかお前、黄金騎士の話…、知らないのか? 」
「 黄金騎士…? 何かあったのか? 」
けろり…と答える草汰に、問い掛けた青年が肩を落とし、溜息を漏らしながら改めて
草汰に向き直っていた。
「 黄金騎士がもう金!輪!際! ホラー狩りをしない!! って、宣言したって話… 」
「 えええッ、な、な、何で!!?? 」
だがそれを聞いた草汰が驚愕の反応を示した途端、その頭上にぱさり…と何かが
乗る感覚が感じられていた。慌ててそれを、手に取って確認する草汰。
「 えッ、また指令書!? さっきホラー狩りが終わって、戻って来た所なのに!! 」
その手にあったのは、一通の赤い封筒。無論、番犬所から出された指令書だった。
「 はは、黄金騎士が、ホラー狩り拒否宣言をした影響が、まさしくソレさ! 俺達も、
似た様な状況だしな… 」
するとその様子を見て青年が言うのに、他の二人もうんうん…と頷いていた。
黄金騎士がホラー狩りを拒否した…という話が出回る様になってからというもの、
元老院は当然ながら各番犬所も大騒ぎとなり、必然的に騎士や法師の負担が
増す…という状況に陥っていたのだ。それは拒否の理由が不明…という事もあるが、
未だかつて一度も無い状況に、混乱しているという事の方が強いかもしれなかった。
「 で、でも…、何で黄金騎士は、ホラー狩りを拒否したんだろ…? 」
と、そんな状況に、草汰が素朴な疑問を口にする。
「 詳しい話は判らないが、察するに俺達一介の騎士は、ここぞという時につい、
黄金騎士に期待してしまう所があるだろ? 黄金騎士さえ居れば大丈夫!、黄金騎士
なら何とかしてくれる!…って。そうやって頼られ過ぎる事に、嫌気がさしたんじゃ
ないだろうか… 」
「 そうだよなぁ~、黄金騎士一人が欠けたっていうだけで、末端の様な俺達までもが
こんなに忙しくなるんだから、普段どれだけ黄金騎士に負担が掛かってるのかって
話になるよな… 」
一人が口にした推測の話を受け、もう一人がその推測を広げて言うのに、その場の
空気が重く、静かになっていた。さまつ
確かに青年の言う通り、日常の瑣末なホラー狩りから強大なホラーとの対峙まで、
黄金騎士の肩に掛かる荷は重い。特に魔戒の者達を揺るがす様な事態は、元老院
から迷わず黄金騎士の元へと指令が行く。そうやって黄金騎士が、あらゆる状況の
ホラー狩りを引き受けているからこそ、多くの騎士達は普段の様子でホラー狩りが
行えるのだと、草汰を始め三人は実感していた。
「 ………そっか 」
そんな推測話に、草汰はがくり…と肩を落としていた。もしそれが本当だとすれば、
もう二度と黄金騎士は剣を握らないだろうし、この忙しい状況が普通になるのだろうと
思うと、草汰は胸の内が暗くなるのを感じざるを得なかったからだ。すると―――。
ぱさり…。
再び草汰の頭上に、何かが乗ってくる。反射的に、それを手に取る草汰。
「 うぅッ、二通目!? 」
既に手にあった赤い封筒と全く同じ物が出現した事に、草汰は喉を詰まらせる様に、
驚きの声を発していた。           おの
「 草汰は俺達と違って称号持ちだからな、自ずと指令も多めに出されるんだろうな 」
草汰の反応を見、他の三人が含んだ様な笑いを漏らしていた。
「 そ、そうよ草ちゃ…、草汰! 番犬所から、期待されてるって証拠よ!! 」
するとリルヴァが気落ちした草汰へ、羽をばたつかせながら励ましの言葉を掛けて
きていた。
「 はは、そうかもしれないな、草汰! 」
リルヴァの言葉を聞き、“ じゃあな ” と手を振った三人は、草汰を残してその場を後に
していた。
「 ………はぁ~ 」        
だが当の草汰は大きな溜息を吐くばかりで、一向に気力を取り戻す気配がなかった。
「 頑張ろう、草汰! 」
重ねてリルヴァが、草汰を発奮させようとする。だが―――。
「 俺は以前の調子が、良かったよ… 」
情けない声音で、ぽつり…と呟き返すだけだった。

― 続 ―




コメディ版の第十話、お届け致します!!
ただコメディと言いながら、ちっとも笑いの要素が無い状況ですが、
それでもお付き合い頂ければ、嬉しく思います ( 詫 )
さて新キャラ皆元 草汰くんが、登場致しました!!
鋼牙がホラー狩りをお休みした事で、一般の騎士達にも、
少なからぬ影響が及んでいる事を、彼らに話して貰いました。
黄金騎士である鋼牙が、普段色々と活動している事で、
一般の騎士達が緩やかに活動出来ているのではないか…と、
私は想像しておりますので、こういう内容を書きました。
やれやれ、黄金騎士は大変だぁ~~!!
そして新登場の魔道具 ・ リルヴァ。声や口調のイメージは、
クロウが所有している魔道具 ・ オルヴァを想像して頂ければ、
ピッタリかなぁ~と思っております。
さてはて…。
レオくんの術を掛けた主の解明は、いつになるやら。
そして鋼牙は再び、カオルが貼り付いた状態で、
二人きりの時間を迎える事になるのか…。
またも覗きに来て頂ければ、嬉しく思います!!
では次回の Upまで、お待ち下さいませぇ~
スポンサーサイト

テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

コメント

■ コメントの投稿