牙と狼

牙狼 ( 鋼牙版 ) にドハマリした気持ちを二次小説で表現しています。

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牙狼 ( 冴島鋼牙 版 ) にドハマリして いる気持ちを、二次小説で表現して います。

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■■■二次的創作妄想小説…誓い ~ 帰還への日々 ~ 3

~本作に関しては 「 当ブログの注意事項 」 をご一読下さい~

もう今日で、幾日目か…。
鋼牙は一人庭先で魔法衣姿のまま、青々とした遥か上空を見つめていた。
そんな鋼牙の脳裏に思い浮かぶのは、カオルが連れ去られてからの事…。
カオルが連れ去られた翌日、報告の為に元老院へ向かうと、鋼牙を待っていたのは
血相を変えてひしめく多くの騎士や法師達で、圧倒される程の状況だった。聞けば
全世界でカオルと同じ様に、邪悪な渦に人々が吸い込まれてしまった事件が続発し、
それが今も続く現状に、騎士や法師達が元老院で協議する為に訪れていたのだ。
そして鋼牙がようやくグレスと対面した時の事が、改めてその脳裏に浮かぶ。
鋼牙は我が妻であるカオルが、続発している事件と同じく邪悪な渦に吸い込まれ、
行方知れずになった事と、その妻を捜しに行く旨を報告していた。だがグレスからは、
冷淡とも思える様な反応が返ってきていた。
“ それは魔戒騎士としての行動ですか… ”、と。
その言葉に、鋼牙は一瞬ぐ…っと喉が詰まり、何も言い返せずにいた。
確かに魔戒騎士である鋼牙が何かしら行動を起こして許されるのは、それはホラー
狩りやそれに準ずる事、そして守りし者としての行為にのみだろう。だが今鋼牙が
                                          おっと
カオルを捜しに行こうとする行為は、一人の人として男として、そして良人としての
               はんちゅう
行為であり、魔戒騎士の範疇からは外れているのかもしれなかった。
だが鋼牙は、思う。ただ一人の妻さえ守れぬ者に、多くの命が守れるだろうか…と。
グレスの言葉にその想いを新たにした鋼牙は、宣言するかの如くやはりカオルを
捜しに行くと告げると、グレスも鋼牙の決意の固さに触れ、根負けした様に許諾を
言い渡していた。ただし、そうそう長い期間の黄金騎士不在が許される筈もなく、
早期の解決を条件とされた。
そしてそれからの鋼牙の日々は、激変したと言っても過言ではなかった。
早朝、管轄内のオブジェを浄化して回り、帰宅後は魔法衣さえ脱がずに手早く食事を
                   ひたすら
済ませて庭に出ると、ただただ只管カオルが消えた上空を一心に見上げていた。
無論それは、夜にホラー狩りの指令が出されるまで続く…という事の繰り返しだった。
何の確証も無いが、いつか必ずあの空に再び邪悪な渦が出現し、カオルを捜しに
行ける機会が得られる筈…と、鋼牙は確信しての行為だったのだ。ただそれから
幾日過ぎたのか、鋼牙には判らなくなっていた、そんな今日の日の事―――。
「 鋼牙様… 」
鋼牙の背後から、恐る恐るゴンザが声を掛けてきていた。
「 そろそろ、休憩致しませんか…? 」
既に時は、午後を回っている。早朝のオブジェ浄化後帰宅してからずっと庭に立ち、
かなりの時が経過していたのだ。だが鋼牙はゴンザの心配をよそに、空を見上げる
事をやめようとはしなかった。鋼牙にしてみれば、一分一秒すら惜しみたい程この
行為に心血を注いでいたのだ。
「 …カオル様は、大丈夫…なので、しょうか…? 」
             こわごわ
するとゴンザが、更に怖々と問い掛けてくる。心配で心配でならなかったが、あまりの
状況に、鋼牙へ問う事すらはばかられていた事を、ついに問うていたのだ。
「 心配するな。それに関しては大丈夫だ、ゴンザ 」
                 つと
だがその問いへ、ザルバが努めて明るく返していた。
「 鋼牙とカオルが “ 婚姻の契約 ” を交わしたのは、ゴンザも知っているだろう?
魔戒における “ 婚姻の契約 ” は、たとえ互いの肉身が滅んでも、その魂は共に

在る…というものだ。つまりカオルの身に何かあれば、鋼牙の元へ魂が戻って来る
筈だが、俺様はそれを感じてはいない。だとすればカオルは行方知れずではあるが、
最悪の状況にはない…という事だ 」
そうザルバが説明するのに、ゴンザは安堵の溜息を漏らしていた。すると―――。
「 ……ケーキ 」
「 は…? 」
空を見上げたままの鋼牙が唐突に不可解な事を呟いた為、思わずゴンザが咄嗟の
問いを返していた。
「 もうじき、雷牙の誕生日だったな… 」
無論、それも空を見上げたまま告げる鋼牙。
「 はい、カオル様は雷牙様がお生まれになってから、必ず誕生日にはケーキを準備
するのだと張り切られて、毎年大騒ぎでしたなぁ… 」
まるで遥か昔の出来事の様に、だが大変でも楽しかったとばかりに微笑みながら、
ゴンザは記憶を辿って告げていた。
「 …カオルはきっと、今年も準備するつもり…だっただろうな 」
「 はい… 」
鋼牙の言葉に、それが出来そうにないカオルの事を想うと、ゴンザは再び切ない
心持ちになっていた。
「 来年も再来年も、その翌年も… 」
更に鋼牙は、独り言の様に言う。そして―――。
「 頼めるか、ゴンザ 」
ようやくゴンザに振り向き、淡くも悲し気な笑みを見せた鋼牙が、そう言っていた。
無論その発言にゴンザはは…っと息を飲み、改めて鋼牙の表情を見ていた。
鋼牙の瞳の奥に、初めての状況へ挑む覚悟と、カオルを必ず連れて帰るのだという、
揺るぎ無い決意が浮かんでいる。そして雷牙を置き、魔戒騎士の身ゆえに課された
苛烈な宿命へ向かわねばならぬ悲痛さも滲んでいる事に、ゴンザは胸が苦しくなる
のを覚えていた。
「 ……はい、必ずお作り致します…ッ! 」
           こわね
そして震える様な声音で返答し、頭を下げていた。その目尻に、薄く光る物が溢れて
いた事は、鋼牙もザルバも知り得ぬ事だった…。

― 続 ―




“ 花 ” の続編、第三話お届け致します。
今回は、ゴンザさんとのお話です。
“ 花 ” でゴンザさんは、雷牙に毎年バースディケーキを作っている…という
エピソードがあって、それはカオルが毎年やっていた事を、
鋼牙がゴンザさんに依頼したからでは…と思い、この話を書きました。
それと、元老院での事。
鋼牙は黄金騎士ですから、私的行動は許されないのではないかと思い、
グレスにカオルを捜しに行く旨を告げたものの、
良い反応は返されなかっただろうと、本文の様な展開を入れました。
( でも長く帰って来ない鋼牙に、元老院側も焦ったでしょうね… )
そして “ 婚姻の契約 ” の事。
これは完全に私のオリジナル設定なのですが、魔戒における結婚は、
特有の意味が有る様な気がしたのです。
それが “ 互いの肉身が滅んでも、その魂は共に在る ” という事…。
大河さんとりんさんは、“ 白夜 ” において二人一緒に居ましたし、
牙狼では夫婦や夫婦的な人達 ― カオルの両親やエイジとアカリ ― は、
常に共に居るイメージなので、こういう設定を思い付きました。
この方が、何となく牙狼っぽいでしょ?? ( 笑 )
さぁて次回から、ようやく鋼牙は出発です!!
一体どんな困難が、鋼牙を待ち受けているのか…って、
ソレは私次第なんでしょうけど ( 滝汗 )
では次回の Up まで、是非お待ち下さいませね!
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テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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