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牙と狼

牙狼 ( 鋼牙版 ) にドハマリした気持ちを二次小説で表現しています。

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Author:茅
牙狼 ( 冴島鋼牙 版 ) にドハマリして いる気持ちを、二次小説で表現して います。

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■■■二次的創作妄想小説…誓い ~ 帰還への日々 ~ 2

~本作に関しては 「 当ブログの注意事項 」 をご一読下さい~
     
夜もかなり更けた頃、零は冴島邸の扉を開いていた。
そして中へ一歩踏み込んだ瞬間、その “ 違和感 ” を瞬時に感じ取っていた。
零にとって冴島邸は、幸せの象徴だ。特に鋼牙とカオルが結婚してからというもの、
そして雷牙という新たな “ 宝 ” が増えてからは、増々冴島邸は笑顔と笑い声の
絶えない家となり、零には気後れする程の場所となっていった。
そんな冴島邸故に、例えカオルや雷牙が就寝していたとしても、どこかしらに
楽しげで明るい空気が残り、それらが邸内のあちこちに漂っていたりするのだ。
だが、今日はどうだ。今の時間を思えば、邸内の照明が消えているのは当然だが、
それに加えてやけに静か過ぎて、むしろ何か暗い想いに沈んでいるかの様だった。
次いで零は邸内で唯一明かりが灯り、戸の隙間からそれが漏れ出ているリビングの
扉を開いていた。するとリビングの奥、既に闇に落ちた屋外しか映していない窓の
前に、鋼牙が立ち尽しているのを認めていた。
「 こ…… 」                                         
そして鋼牙の名を呼びかけ、だが “ ある物 ” に目が留まり、声を発するのを止めた。
それはソファーの上に置かれた、鋼牙の魔法衣だった。だがただ置かれているという
訳ではない。ぐしゃぐしゃに丸められ、叩き付けられた様に投げ置かれている状態
だったのだ。
更に零は、漆黒の窓に映る鋼牙の表情を見た。そこにはいつになく暗く、苦渋に
    さま
満ちた様が隠す事なく現れ、それが尚の事零を戸惑わせていた。
そんな表情を浮かべている上、騎士にとって大切な魔法衣を、乱雑に扱っている…。
初めて見る状況に、それがまるで鋼牙の胸の内を現している様で、もしや深刻な
事態が起きたのではないか…と、零の心に更なる不穏な思いを広げていた。
「 …鋼牙 」
次いでようやく、零は鋼牙へと声を掛ける。
「 …済まない、こんな時間に呼び出して 」
すると零の訪問に今しがた気付いたのか、鋼牙は急に表情を落ち着かせ、零の方へ
歩み寄って来ていた。無論零も、鋼牙の元へ近づいて行く。
「 気にするなって。それよりやけに邸内が静かだが…、何かあったのか 」
そう言いながら零はリビング内を見回し、訪問以後ずっと感じていた事を問うていた。
だが―――。
「 カオルが……、連れ去られた 」
「 何ッ!? 」
予想以上の答が返ってきた事に、零は愕然と鋼牙に視線を戻していた。更に続けて
鋼牙から、昼に起こった出来事 ― 三人で庭を散策していた時、上空に謎の雲が
                                 てんまつ
渦を巻き、その中へとカオルが吸い込まれてしまった顛末 ― を聞かされていた。
「 ……ホラーの仕業か 」
「 おそらく… 」
零が問うのに、鋼牙は重々しく答えていた。
「 どうする…、つもりだ? 」
次いで尚も訊きながら、だが零は鋼牙から返されるだろう言葉を、既に判っている
気がしていた。それは―――。
「 カオルを捜しに行く 」
「 ああ、俺も同行する 」
推測通りの返答を受け、零はしっかと頷き覚悟の同意を迷いなく告げていた。きっと
鋼牙もその依頼をするつもりで、零を呼び出したのだろうと思っていたのだ。だが
鋼牙はそんな零に向け、ゆっくり首を振る…という、思い掛けない反応を示していた。
「 …鋼牙? 」
まさか同行を拒まれ、零が困惑を呟く。
「 お前にはもっと、重要な事を頼みたい 」
「 重要な…、事? 」
共のカオルの捜索に同意するだろうと思っていた鋼牙から、意外な言葉を聞かされ、
                           おうむかえ
ただその意図が解らず零は、鋼牙の言葉を鸚鵡返しで問うていた。
「 …雷牙の事だ 」
「 雷牙? 」
すると二人の視線は、雷牙が休んでいるだろう二階へと向けられていた。
「 カオルを捜し続け、俺が戻らなかった時は――― 」
「 鋼牙ッ!! 」
その途端、零が鋭い声を上げた。鋼牙はこれまで幾多の困難も己の力で乗り越え、
あの約束の地からも無事に帰還した様な男だ。よもや戻らないなどという気弱な
発言を、その口から聞くとは思ってもみなかったのだ。いや正確に言えば、聞きたくも
ない話だった。
「 …聞け零、もしもの話だ 」                           なだ
そんな盟友の想いに気付いてか、鋼牙が穏やかな笑みを浮かべ、零を宥める。
                       とお
「 もし…俺が戻らず、そのまま雷牙が十の年齢を迎えた時は、雷牙に騎士になるか
否かを問うて欲しい 」
「 騎士になるか…、訊くの、か? 」
                   いぶか
それもまた意外な発言に、零は訝しみの視線を鋼牙に向けていた。魔戒騎士とは
一子相伝、なりたいか否かなど思う暇も無く、無論その事に何の疑問も持たずに、
騎士の道を歩んで行く。零は道寺の養子となった事で、道寺から銀牙騎士を継いだ。
当然その事に、疑問や不満は無い。魔戒騎士とは、そういう存在だと思っている。
鋼牙自身も大河から騎士の教えを受け、だが目の前で父が命を落とす…という
悲しい状況に見舞われた事で、零以上に必死で騎士の道を追い求めた筈だ。なのに
鋼牙は雷牙に、“ 選ばせろ ” と言う…。
「 ああ。だがこれは俺だけではなく、カオルの希望でもある 」
「 カオルちゃんの…? 」
そう問い返す零に、鋼牙は一つ頷いて返していた。
「 グレス様に、カオルと “ 婚姻の契約 ” を結ぶと告げた時の事を、覚えているか? 」
「 ああ、忘れられる筈がない。黄金騎士のお前が、市井の者と婚姻すると言うんだ、
魔戒を二分する程の騒ぎになって、大変だったからな… 」
言いながら零は、その当時の事を脳裏に蘇らせていた。魔戒の者は “ 人知れず ” が
掟で、大原則だ。だが魔戒騎士の最高位である牙狼の鋼牙が、市井の者と婚姻する
旨を宣言したとなれば、騒ぎにならぬ筈もなかった。
「 グレス様や他の神官に加え、反対派の騎士や法師達を納得させるなんて、本当に
出来るのかって思ったぜ… 」
「 そう…、だな。だがお前や多くの騎士と法師達…、そして何よりカオルの尽力で、
無事に婚姻の契約が結ばれ、魔戒の系譜書にも正式に名を記す許しも得られた。
ただ、その時…… 」
そこまで言い、鋼牙は気を改める様に一息つくと、再び零へ視線を向けた。
「 グレス様に、こう言われた。“ カオルとの間に子が生まれ、その子がもし男ならば、
貴方以上に強い、最低でも貴方と同等の強さを持つ黄金騎士に育てなさい。さも
            えいたい     そし
なくば、この婚姻は永代に渡って謗りを受けます ” と… 」
「 黄金騎士ゆえ…、だな 」
鋼牙から聞かされたグレスの厳しい言葉に、零が溜息交じりに返していた。そんな
零へ鋼牙もまた、僅かに目を伏せて同意の表情を見せた。
「 だが俺は、迷っていた。父が魔戒騎士なら、何も言わずに騎士の道を選ぶのが、
当然の事と思っていたが、カオルと出会い、自由に生きる姿を見た時、例え騎士の
子であっても、果たしてそれが正しい事なのか…と、疑念を感じる様になった… 」
「 まぁ…、な。それに市井の…カオルちゃんの子でもあるから、そう簡単に騎士に…
とは、言えないよな 」
零も鋼牙の複雑な胸の内を聞きながら、幾度か頷いてその想いに共感していた。
「 そしてカオルは雷牙を身籠り、俺はこの迷いを告げた…。だがカオルから、さらりと
” 本人に訊けば良い ” と言われ、どれだけ驚いた事か… 」
「 はは、目から鱗…ってヤツか。確かに、カオルちゃんらしいな… 」
微かに笑いながら零が言うのに、鋼牙も吐息の様な笑みを見せていた。
「 …つまり雷牙の未来を本人に選択させる事は、俺とカオルの希望だ。もし雷牙が
騎士の道を拒んだとしても、それで構わない。市井の者として、支えてやって欲しい。
だが騎士になる事を選んだのなら、零、お前が騎士としての全てを身に付けさせて
やってくれ。…こんな事を頼めるのは、お前しかいない 」
「 …………… 」
その鋼牙から真摯な願いを受け、零は言葉を失っていた。鋼牙自身、幼くして父を
                   いきさつ
失い、自力で黄金騎士になった経緯の持ち主だ。そんな過去を思えば、我が子も
己の手で育てられないかもしれない巡り合わせに、いかばかりの苦しみを覚えている
だろうかと、胸が締め付けられる思いだった。
だがその重要な事を、鋼牙は零に託す…と言う。鋼牙にとって零は、剣士として盟友
として我が子を委ねる事に、最も信頼のおける存在だ…と言っているに等しく、その
重みに零は、そう容易には返答が出来ずにいたのだ。
“ 魔戒騎士とは、こんなにも平穏な日々が困難な生き方なのか…”
そんな切なさを感じながら、零は唇を噛み締め、拳を握り、目を伏せた。そして――。
「 わかった…。ただしあくまでも、“ もしも ” の話だ。やはり俺は、雷牙はお前が育てる
べきだ…と思っている 」
「 ……ああ 」
胸の内から絞り出す様に言う零に、鋼牙も短く答えていた。
「 だから、約束しろ。早急にカオルちゃんを発見し、必ず雷牙の元へ戻ってくる…と 」
「 ああ、牙狼の称号に懸けて誓う。必ず…、戻る 」             しば
次いで鋼牙はしっかと告げ、零もその誓いに一つ頷き返していた。そして暫し、重い
空気が二人の間を満たし、無言の時が続く。
だがこの時はまだ、鋼牙が誓いを果たす為に膨大な時を要する事など、誰も知る
由もなかった…。

― 続 ―




ううう…ッ、こんなに長くなるなんて!!
予想より、はるかぁ~~に長くなってしまいました。
お付き合い頂き、本当にありがとうございました。
“ 花 ” の続編第二話、ようやくお届け致します。
今回は零くんとの誓いを書かせて頂きましたが、
公式サマのエピソードと、私の妄想が入り混じった内容となりました。
まずは、今回の話そのもの。
きっと零くんと、こんな会話をしたんだろうな…で、話を展開させました。
やっぱり一番の盟友 ・ 零くんには、色々と話さなきゃ…ですから、ね。
それから鋼牙とカオルの、結婚エピソード。
公式サマでは全く描かれておりませんが、“ 人知れず ” が掟の鋼牙と、
市井のカオルが結婚するのですから、スンナリ…とはいかないだろうと思い、
魔戒を二分し、でも結局それを収めたのは、カオルの頑張りだった…という
私の妄想エピソードを、鋼牙と零くんの会話のニュアンスで、お伝えしました。
あと、グレス様の言葉…。
反対の空気が少なからずあった ( と思う ) 中での結婚ですから、
そんな二人の間から生まれた子は、黄金騎士としての力量を、
必要以上に求められたのでは…? と思いました。
( 弱い黄金騎士では、反対派に 「 だから法師と結婚すれば良かったんだ 」 と
言わせてしまう事にも、繋がりかねない為… )
故に鋼牙の悩みも、より一層強くなったのでは…と。
そこで出るのが、雷牙に騎士になるか否かを選ばせるエピソード。
これに関しては “ 花 ” で初めて見た時、かなりの違和感を覚えたんです。
本文で幾度も表現している通り、鋼牙も零くんも “ 親が騎士なら子も…” が、
当然な状況で生きてきた人なので、選択させる…なんていう発想を、
果たして持ち合わせているだろうか…と、首を捻った次第でした。
でもそこで、カオル発想なら…? と思ったら、ストン! と腑に落ちまして。
市井で生きてきた、柔軟な発想の持ち主のカオルなら、
“ 本人に訊けば良いじゃない ” と、あっさり言いそうな気がしたんです。
( 鋼牙の目から、鱗がボロリ…と零れ落ちるのが目に見えそうな勢いで )
だもんでこれらのエピソードを、零くんとの会話の中で表現してみました。
まぁ結構大切な内容だったので、これだけの長編になってしまいましたが、
ある程度は “ 花 ” の妄想補完が出来たのでは…と思っています。
さてさて続きの Up は、いつになるやら…。
また次回の Up を、楽しみにして頂けたら嬉しく思います
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テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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