牙と狼

牙狼 ( 鋼牙版 ) にドハマリした気持ちを二次小説で表現しています。

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牙狼 ( 冴島鋼牙 版 ) にドハマリして いる気持ちを、二次小説で表現して います。

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■■■二次的創作妄想小説…“ 願い ” という名の思惑 6

~本作に関しては 「 当ブログの注意事項 」 をご一読下さい~
       とばり     ひとけ                      
鋼牙は夜の帳が降り、人気の見えなくなった公園で一人、その歩を進めていた。
ホラー狩りの指令を果たす為、カオルに眠らせる術をレオに掛けさせたのだが、
術が二重に掛けられた負担がある為、早急に帰宅を…とのレオの忠告に従い、
鋼牙はその指令をいつになく慌ただしく片付け、帰宅の途に就いていたのだ。
だが突如、その歩みが止まる。そして脇に据えられたベンチへ、腰掛けていた。
「 どうした、鋼牙。さすがに “ あの ” カオルの元へ帰るのは、気が重くなったか? 」
するとザルバが、かかか…と笑いながら問うてくる。
「 …そうじゃない 」
ぽつり…と返しながら、それでも鋼牙は小さな息をつき、闇の中に溶け込んだ公園の
景色へ、視線を向けていた。
「 術の目的と、それを掛けた者の正体は一体… 」
そしてザルバに訊くとはなく、静かに呟いていた。
実のところ鋼牙は、カオルに掛けられた術の目的は、己ではないか…と思っていた。
つまり鋼牙が心を許し、一番身近に居るカオルに術を掛ける事自体に、鋼牙へ向け
何かしらの “ 意思表示 ” が隠されている様な気がしていたのだ。
                 しわざ        のんき
「 目的に関してはホラーの仕業なら、やけに暢気な術に思えるが…。ならば法師の
仕業って事になるが、自分の正体を消すくらいだ、かなりの腕前の者…なのだろう 」
鋼牙の呟きを受け、ザルバが返す。
「 となれば誰なのか…も推察出来、おのずと目的も判明する、か 」
「 ああ… 」
そう短く遣り取りをした二人の脳裏には、数多くの法師の中で一目置かれた存在の、
こうみょう
“ 高名 ” を立てた人物の顔が浮かんでいた。
「 …戻ろう 」
そして鋼牙が呟くと、すっくと立ち上がって再び帰宅の途に就いていた。



「 今、戻った… 」
冴島邸の玄関を開け、鋼牙は屋敷の奥へ向けて声を掛けていた。
「 お帰りなさいませ…! 」
するとゴンザが、リビングから飛び出す様にして駆けて出て来る。
「 …カオルは? 」
「 はい、お変わりなく休まれたまま…です 」
「 そうか… 」
会話を繰り返しながら、鋼牙はゴンザが行う魔法衣の脱衣に身を委ね、二階に対し
視線を送っていた。
「 …早いご帰宅で、夕食には良い時間です。カオル様の分も準備致しましたので、
ご一緒に如何でしょうか…? 」
「 …わかった 」
そしてゴンザからの提案を受け、鋼牙は二階への階段を上っていた。次いでそのまま
カオルを休ませた客室へ向かおうとする。だがふと考え直して歩みを止め、鋼牙は
私室の扉を開いていた。そして執務机の上にある、クリスタルのオブジェに向かう。
「 …グレス様 」
「 ……何用ですか、冴島鋼牙 」
鋼牙が元老院神官であるグレスの名を呼ぶと、そのオブジェ中央から、グレスの像が
ふわり…と浮かび上がっていた。
かきゅう
「 火急の報告があります 」
「 …一体、何事です 」          こわね
だが鋼牙の真摯な表情を見、グレスは声音を変えて問い返していた。
「 ホラー狩りの指令を受ける事が、暫く困難な状況に… 」
「 …………… 」                               こわば
そして鋼牙が報告の内容を告げた途端、グレスの表情が更に硬く強張っていた。
「 ……どういう事、ですか 」
「 今は “ 一身上の都合 ”…としか、申し上げられません 」
「 いつ復帰出来る…とも、言えない状況ですか。何か、対応は…? 」
「 現在レオに真相解明を依頼しておりますが、時間を要する様で、復帰の明言も
不可能かと… 」
「 …………… 」
すると再びグレスが、重い沈黙に落ちていた。魔戒騎士最高位の牙狼である
鋼牙が、己の存在意義を示すホラー狩りを断る…という状況が、どれだけ深刻な事を
意味しているのか、しかもその復帰がいつになるやも言えず真相も不明となれば、
それなりの状況なのだと思わざるを得ない事が、グレスに伝わったのだ。
鋼牙の方も “ カオルにしがみ付かれている為 ” など言える筈もなく、こんな報告の
方法しかない事に、苦渋の思いを感じていた。
「 …わかりました、暫くは…何とかしましょう。ですが冴島鋼牙、再び騎士の務めが
果たせるようになったその時は… 」
           さっきゅう
「 わかっています。早急に復帰し、それまで出来なかった分の狩りも、行います 」
そうきっぱりと伝える鋼牙の姿を見、グレスは一つ頷いてその姿を消していた。



次いで鋼牙は、カオルを休ませたアトリエと化した客室へと、足を向けていた。
二階の最奥にあるその部屋の前で歩みを止め、静かに扉を開く鋼牙。するとそこは
                 せいひつ
深い闇に落ち、だがそれでも静謐な空気に包まれていた。
鋼牙は足音も無くカオルが横たわるベッドへ歩み寄ると、その脇にある小さな照明に
明かりを灯していた。すると灯された明りの中に、鋼牙がベッドへ横たえた時のまま、
仰向けに眠っているカオルの姿が浮かび上がっていた。微動だにせず眠り続ける
   さま          ひとがた
その様は、まるで美しい人形の様だった。
                ひざまず
次いで鋼牙はベッドの脇へ跪くと、一度だけ大きく息を吐いていた。そして―――。
パキ…ッ!
「 …起きろ、カオル 」
カオルの耳元で指を鳴らしてそう呟くと、カオルの様子を見守っていた。と、少しの
時を置くうち、カオルの瞼が花の蕾が開花するかの如くふわり…と開き、澄んだ瞳を
現していた。
「 カオル… 」
再度、鋼牙が呼びかける。すると、その途端―――。
「 …鋼牙ぁ! 」
カオルがやおら起き上がると、鋼牙の首根に両の腕を回してしがみ付いてきていた。
カオルを起こせばこうなると判っていた鋼牙は、故にカオルを起こす前に溜息を
漏らして心構えをしたのだが、予想通りの状況に少なからず心の内が重くなるのを
感じていた。
「 …ゴンザが、夕食の準備をしてくれている。共に、どうだ? 」
「 うんッ!! 」
鋼牙の言葉にカオルは嬉しげに頷き、そしてその首筋へ頬擦りしながら、鋼牙へ
触れている事を再認識している様だった。
次いでカオルの脚をベッドから降ろし、靴を履かせて立たせると、再び鋼牙にしがみ
付いたカオルの姿は、眠らせる前とすっかり同じ状況に戻ってしまっていた。
だが無論、カオルの笑顔も変わらぬまま…。
そして鋼牙は小さな溜息をつくと、カオルを連れ、階下のリビングへと向かっていた。

― 続 ―




はぅ~~、思っていたより長くなってしまいましたぁ~。
今回は以前の話の収拾と、次回の話の種蒔き回…という内容でした。
さて本当に、カオルに術を掛けたのは一体誰なのやら。
鋼牙はザルバとの会話で、その “ 答え? ” と思しき人物を
思い付いた様ですが、これ如何に??
そして当然ですが、グレス様にホラー狩りの中止を申し出ました。
まぁカオルに二度も三度も、眠らせる術を掛ける事は出来ませんので、
致し方ない選択ではありますが…。
そして次回はこの “ ベッタリ状況 ” で、仲良く夕食です!!
食事をするだけ…ですけど、なかなか簡単には進まなくて…。
( 鋼牙の苦悩も必須…、でゴザイマス )
では次回の Up も、是非ともお待ち頂ければ…と思います!!
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テーマ:二次創作:小説
ジャンル:小説・文学

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